🍃 あらまし
- 「106万円の壁」とは、特定条件下で働くパートタイム労働者が、年収が106万円を超えると、配偶者の扶養から外れて社会保険に加入する義務が生じる仕組みを指す。
- この壁を避けるために「働き控え」をする人が増え、労働力不足の一因となっている。
- 厚生労働省は、最低賃金の引き上げによりこの要件の必要性が薄れているとし、「撤廃案」を了承。
📅 期限
- 賃金要件の撤廃:2026年10月から
- 企業規模要件の撤廃:2027年10月から
- 個人事業所への適用拡大:2029年10月から(従業員5人以上)
🌟 メリット
- 働き控えの解消
- 年収を気にせず、自由に労働時間を増やせる。
- 結果として労働力不足の解消が期待される。
- 厚生年金の恩恵を受けられる
- 将来の年金受給額が増える。
- 老後の生活保障が手厚くなる。
- 健康保険の直接的な利用が可能
- 高額療養費制度などの健康保険サービスを、自分自身で利用しやすくなる。
- 制度がシンプルになる方向へ
- 賃金要件の撤廃により、「壁」の意識が薄れる。
❄️ デメリット
- 短期的な負担増
- 社会保険料を支払うことで、手取りが減少する可能性がある。
- 配偶者控除も失われるため、世帯全体での課税負担が増える場合がある。
- 企業側のコスト増
- 社会保険料の労使折半の負担が増える。
- 特に中小企業や個人事業所には影響が大きい。
- 「週20時間」の新たな壁
- 労働時間要件が残るため、扶養内で働きたい人にとっては働き控えが続く可能性がある。
🌈 わかりにくさの本質
この壁のわかりにくさの本質は、この壁は、働く側だけではなく、働かせる側(雇用主)も感じているという微妙に複雑な構造からです。
🍃 働き控えは主に労働者主導
- 理由①:扶養の枠内で働きたい
- 労働者(特に配偶者の扶養に入っている場合)は、年収が106万円や103万円を超えることで税金や社会保険料の負担が増え、手取りが減るのを避けたいと考える。
- このため、自分から「働く時間を減らす」「これ以上働かない」という選択をする場合が多い。
- 理由②:家庭の事情を優先する人が多い
- パートタイム労働者の多くは、家事や育児を担っている場合がある。
- 扶養内で収入を抑えることで家族全体の負担を減らしつつ、自分の役割を優先しようとする。
🌈 ただし、雇用主が間接的に働き控えを促すことも
- 理由①:時間や収入を調整するよう求めるケース
- 雇用主は、労働者が扶養を外れたことで社会保険料を負担するのを避けたい場合がある。
社会保険料は雇用主と折半なので、労働者が天引きされる分と同額かそれ以上を雇用主も負担する必要がある - そのため、「扶養内で働きたい」という希望を尊重してシフトを調整し、結果的に働き控えにつながる。
- 雇用主は、労働者が扶養を外れたことで社会保険料を負担するのを避けたい場合がある。
- 理由②:労働時間の制約を守ることで結果的に抑制される
- 「週20時間以上」などの社会保険加入要件を意識して、労働時間をあえて短く設定することもある。
- これにより、労働者が「これ以上は働けない」と感じ、結果的に働き控えを選ぶ。
長期的メリットが見えにくいことも
-
- 将来の年金や健康保険の恩恵は時間が経たないと実感しにくい。
- 年金に実際に入っているわけではないという点でいえば、配偶者の年金に依存する形となってしまう。
加入するとその分の還元メリットはあるが、それが短期的には見えない🐻
複雑な仕組みが壁を強調されることも
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- 年収要件、労働時間要件、扶養制度などが絡み合い、負担感を感じやすい。
- 実際のところマイナスイメージが先行している場合もある。
確かに「手取りが減る」というマイナスイメージが目立つが、厚生年金に加入することで将来の年金受給額が増え、老後の生活が安定するのじゃ。さらに、健康保険の恩恵を直接受けられるため、医療費負担の軽減など短期的な安心も得られるのじゃよ!✨
🐻❄️ まとめ
「106万円の壁」撤廃は、働く人の自由度を高め、労働力不足の解消につながる可能性があるのじゃ。✨
しかし、短期的には労使双方に負担感が残るため、制度をシンプルにしつつ、メリットを分かりやすく伝えることが大切じゃの。
長期的な視点で見れば、より多くの人が得をする制度変更と言えるので、その意義の浸透が必要じゃ!🎵
編集後記
そもそも社会保険というのが医療保険(健康保険)+年金保険(厚生年金)から成り立つということの定義まで描写しているところもなかなか見当たらず、その点を踏まえたメリットもまとめたが記事に入れ込めなかったので下に書きます。
産休育休などに対する補助もあるので大きいとはいえそう。