「リクイディティ」と「ソルベンシー」は、金融市場において非常に重要な概念です。金融市場において問題が発生した場合、これら2つの問題が同時に発生することがありますが、それぞれに対する対応策が異なるため、分けて考えることが重要です。
リクイディティとは？
まず、「リクイディティ」とは、市場参加者が自由に資金を調達することができるかどうかを示す指標です。市場において、取引が活発に行われ、資金調達が容易である場合、リクイディティが高いと言えます。一方、取引が停滞し、資金調達が困難になる場合、リクイディティが低いと言えます。リクイディティが低下すると、市場参加者が必要な資金を調達できず、市場が停滞することで、金融危機を引き起こすことがあります。
ソルベンシーとは？
次に、「ソルベンシー」とは、金融機関や企業が債務を返済する能力を示す指標です。ソルベンシーが高い場合、債務不履行のリスクが低く、市場参加者からの信頼が高いと言えます。一方、ソルベンシーが低い場合、債務不履行のリスクが高く、市場参加者からの信頼が低下し、資金調達が困難になることがあります。
これら2つの問題に対する対応策は異なります。リクイディティの低下に対しては、中央銀行などが資金供給を行うことで、市場に資金を流入させ、リクイディティを回復させることができます。一方、ソルベンシーの低下に対しては、金融機関などの財務基盤を強化することが必要となります。たとえば、自己資本比率の向上や、不良債権の処理などが考えられます。
どちらも重要だが、急速性が高いのは…？
どちらも非常に重要な概念です。リクイディティが低下すると、市場が停滞し、金融危機が引き起こされる可能性があります。一方、ソルベンシーが低下すると、債務不履行のリスクが高くなり、市場参加者からの信頼が失われ、市場が不安定化する可能性があります。
したがって、リクイディティとソルベンシーの両方が重要であり、金融市場の健全な運営には両方が必要です。リクイディティが高く、ソルベンシーが低い金融機関があっても、信頼性が低下し、市場が不安定化することがあるためです。
ただし、リクイディティ問題が発生した場合は、急速に対処することが必要とされる場合があります。一方、ソルベンシー問題については、財務基盤の強化には時間がかかる場合があります。したがって、どちらが重要かというよりも、状況に応じて対処策を適切に取ることが必要です。
リクイディティ問題が解決しなければ？
リクイディティ問題が解決しない場合、金融市場は停滞し、その結果として世界経済全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、金融市場の停滞が企業の融資や投資活動に影響を与え、世界中の企業が資金調達に苦しむことになります。さらに、銀行や金融機関が経営に行き詰まり、破綻することもあり得ます。
これによって、失業率が上昇したり、景気低迷に陥ったりする可能性があります。また、金融市場の不安定化によって、世界的な信用格付けの低下が引き起こされ、国際的な信用リスクが高まることもあります。
つまり、リクイディティ問題は重大な問題であり、早急な対策が必要とされます。金融当局や政府は、必要に応じて市場に資金を供給し、金融機関の経営を支援することで、市場の安定を図ることが求められます。
まとめ
リクイディティ問題の厄介なところは、「それが解決したように見える」ことが多い点です。
メディアは不況を扇動するのではなく、中立的な立場に立つことが多いため、「解決の糸口が見つかった」ような報道がなされる場合があります。しかし、サブプライム崩壊の際もそうでしたが、結果として、そのような解決がなされず、大きな経済危機に見舞われることがあります。
したがって、メディアの報道をうのみにせず、銀行の危機を察した場合は、しばらく静観するのも一つだと思います。