催眠療法における被験者に対しては、風船法などのイメージによって、催眠の深度をテストし、軽く催眠に掛けることで、催眠の実現性を信じてもらうような方法があります。
ただ、突然脈絡のない言葉が出てきて催眠が始まるのは、どうも、”遊び”がないという点が懸念されます。（この場合の遊びはplayではなく余裕がない、という意味で使っています。）
あまりにも手順に従い過ぎた催眠を、好まない人の方がきっと多いでしょうし、そのような画一的技法の結果、催眠療法に対する信頼性が下がったとも考えられます。
ここで検討したいのが、催眠の前段階のテストとして、もっと身近なイメージに頼るものです。
催眠とは眠りに近いものですから、ベッドをイメージするのが最も近いといえるでしょう。突然「辞書」や「風船」が出てくるよりかは少なくとも。
特徴
「実際の催眠を始める前に」という宣言をします。これは催眠ではありません、ということで、心のバリアを取るのです。つまり、遊びを作るということです。
この時に、話す速度を遅くしたり、低い声にしたり、リラックスを促したり、数を数えるなど、一般的な誘導を行わないことがとても重要です。催眠に対しての遊びが無くなると、クライアントは緊張してしまい、トランス状態に入りにくくなります。
そうではなく、セッションでないということを認識させることで、かえって催眠状態に入りやすくなるのです。「努力逆転の法則」という言葉は今まさに催眠に掛かろうという方にも当てはまる言葉であり、催眠に入る！という状況から少し気持ちを逸らすという裏技の一つです。
具体的なイメージの誘導
以下の誘導については、あくまでイメージトレーニングの一環であるということを前提に、語られる必要があります。
また、日本語においては、ベッド・寝室という言い方もありますが、非日常性を高めることも一つの言語誘導ですので、「ベッドルーム」とする方が良いかもしれません。
今、世界で一番素晴らしいベッドルームを思い浮かべてみてください。あなたが美しく深く眠れる特別な場所、完璧な夜の休息が得られる場所です。これは完全に架空の場所でもかまいませんし、実際に行ったことのある場所でもかまいません。
または、現実と想像の要素を併せ持つ場所かもしれません。重要なのは、あなたがここでどれだけ平和な気持ちになるかです。
（会員情報のため中略。フル版は鍵付きのこちらにて）
そして、ベッドや寝る場所に横になる準備をしているイメージをしてください。良い、深い、リフレッシュする休息にぴったりの温度です。あなたの下には優しいサポートを感じてください。お気に入りのブランケットでくるまれているかもしれません。体が沈み込んで、完全に快適に休んでいる感じを感じてください。今、ただ心地よい深い眠りに入りたい、良い深い眠りに入りたいと思ってください。
終わりです。もう少しでこの素晴らしい眠りの感覚に戻ることができますが、今は目を開けて、短く私と共有してください。
ちりばめ
上記の良い、や深い、と言った言葉をちりばめ、知らない間にトランス状態にいざなうというのも一つの手法です。
そしてこの自然なセッションの後、体で感じたことを何でもフィードバックしてもらうことで、どの感覚がより優れているか、確認することができます。
コメント
催眠療法って科学的にも証明されているんですよね、犯罪者に再犯しないように催眠をかけてから釈放すればいいのにと思いました。
みややさんこんばんは。
アメリカと日本の催眠の受け入れ具合の違いも結構大きいかもしれませんね。アメリカでは更生プログラムでも催眠療法があると聞きます。
日本ではあまりイメージがないですが、おそらく心理療法の延長として用いることに対しては消極的というか、やっぱり怪しいイメージが先行してる気がしますね。
やはりアメリカの催眠協会の活動力が強いというのもあるのかなとも思います。