インボイス制度、意味が分からない人が多いと思います。
これは
- 制度自体が意味不明
- 内容が意味不明
ということです。シンプルに言えば個人事業主殺しとも言われるのですが、まあその点の言葉っていうのは、例えば勤め人であったら上滑りして聴こえてくるし、例えば日本人の多くが政治に無関心、なんていうように、日本人の多くがインボイス制度に無関心、という実情もあるかと思います。
インボイス制度とは
ということを語るその一歩手前の、消費者サイドの納税の仕組みを考えます。
税というのはあらゆる角度からあらゆる趣向を凝らして取り立てる謎のシステムです。
とある税法上の所得税は10.21%となっています。このうち0.21%は復興特別所得税ですが、何に使われているのかよく分からりません。防衛費に使われていたというような話もありますし、この復興税自体は東日本大震災起点ですが、熊本や能登など、形を変えることもあるでしょう。それが悪いという訳ではないですが、とにかく何らかの事象にかこつけて増税するのは事実です。
今回の話題の中心である消費税もなんか知らん間に0→3→5→8→10%と限界突破を迎えております(´・ω・`)
私たちは「消費税を支払っていない」
少し前置きが長くなりましたが、今回は消費税そのもののみに焦点を絞りましょう。
私たちが100円でダイソーから(食品以外の)物を買うとき、消費税は10円です。
つまり10円の消費税を納めているということになります。
…しかしそれって本当でしょうか?
私たちは店に10円を払っただけで、税務署に支払ったわけでもなんでもありません。
よく「私たちは消費税を国に納めている」というニートワイがいらっしゃるのですが、これは間接的な表現であって、直接的な表現ではありません。
2. 「納め方による分類」
税を納める人と負担する人が同じ税金を「直接税」といい、税を納める人と負担する人が異なるものを「間接税」といいます。たとえば、消費税は、消費者が負担し、事業者が納めるため、間接税に分類されます。
国税庁は上の囲みのように表現していますが、国や地方公共団体に直接お金を払ってない以上、「まだ払っている」わけではないのです。
ダイソーは10円を国に納めるか?
それでは10円をそのままダイソーは国に納めるのか?
ダイソーは100円の品物を売るために60円(税抜き)で工場から買い付けています。その時、ダイソーは66円(税込)で支払っています。
仮に工場が原料のから製品までの生産を、一切他者とかかわりなく行っていたとしたら、その工場は66円のうち、6円を消費税として納めることになります。
その上でダイソーが10円を収めたとしたら、なんと100円の商品に対して16円の消費税を国に納めたという事になります。
これはあまりにも暴利が過ぎますね。
そのため、仕入れた分の6円は引いて、4円だけをダイソーは納めるというのが通例となります。
インボイス制度はここに「待った」を掛ける。
インボイス制度というのは、この消費税の仕入れについて、厳格な定義を求めるものです。
国民目線からすると、不公平が生じていた現場にメスが入るともいえます。それは何かというと。。。
免税事業者に該当するのは、以下のような個人事業主です。 なお、個人事業主の基準期間はその年の2年前のことを指します。 たとえば、2022年の売上高が1,000万円以下の場合は2024年の消費税納税を免除され、1,000万円を超える場合は2024年に消費税の納税が必要になります
この免税事業者の存在です。つまりダイソーが60円で仕入れて税を4円払っても、工場の年間売り上げが1000万以下であれば、納税する必要がない(免税事業者)になるのです。
つまりニートワイ「我々は消費税を支払ってる!(`・ω・´)」→実際は半分も支払われてなかった(´・ω・`)
ということが起こりえるのです。
ここで問題となるのは、小売業者など、消費者へ物を販売する立場ではなく、消費税を払わずに済んでいた中小・個人事業主なのです。
インボイス制度は、ダイソーに、「インボイス請求書じゃないと、仕入れ分の消費税は引かせないよ、だから10円払ってね」というのです。
ダイソーは、「それは困った。それではインボイス請求書を発行する工場に頼もう」となるのです。
インボイス請求書発行の罠
じゃあインボイス請求書を発行すればいいということになります(´・ω・`)~終~
あるいは回避策があって、「(どうせ納めないし)消費税は取らないよ」という方法です。
後者は消費税法第4条に違反します。たとえ免税事業者であっても、このようなことは許されません。また、消費税分がもらえないということは、66円で売っていたものを60円で売るということですから、6円損をするという事にもなります。なので論外。
では、インボイス請求書を発行するとどうなるか。インボイス請求書(的確請求書)を発行するためには、その事業者登録が必要となります。
それはいいのですが、適格請求書発行事業者になると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となっても、登録の取り消しや消滅の届出をしない限り消費税の申告・納税が必要となるのです。
つまり、勝手に非課税にしようが、インボイス登録しようが、6円はきっちり納税対象になる、ということです。
ニートワイ「支払った税金は全部納めてもらわんと困る」
個人事業主は、この消費税の上乗せによって、なんとか生計を立てて来られたところもあり、事実上この分を納めないといけないとなると、かなり苦しい選択となってしまいます。
(いわゆる”2割特例”については今回は説明を割愛します)
しかしニートワイは、「いやお前(下請業者)に払ってんのと違うんや、おかしいやろ」と国民の三大義務を果たさずに正論だけは振りかざします。
10円は国に納めるためのお金と思ってたら、6円がピンハネされていた、そんな阿呆なことがまかりとってはなりません。とニートワイは激怒したのです。
このように、市民感覚で見るか、事業主感覚で見るかで、ものの見え方は変わってきます。
すごくシンプルな話を言えば、消費者が消費税をそのまま国に納めていると思っている以上は、そうしてくれよ、と思っていたことを、形にしているわけで、ニートワイのいう事も分かります。
これを複雑というのは・・?
これを複雑であるとかどうとか批判するのは、あくまで「経営者目線」であって、雇われ側の目線ではありません。
ただ、雇われ側にこのめんどくささや削減された利益が跳ね返ってくるという可能性もあるから、総体的には白い目で見られるわけです。
補足、地方公共団体のみと仕事をするところは?
地方公共団体は消費税法第60条で非課税となってますから、消費税を納めることはありません。そのため仕入れ控除も関係ないので、インボイス請求書である必要は必ずしもないです。
ただ、じゃあ公営競技場はどう?となると、競馬とかは農水省や各地方の管轄ですが、これらは特殊法人などの性質を帯びており、一般会計の枠をはみ出た世界(特別会計)にあたるので、適格事業者となります。
となると課税事業者という扱いですから、当然取引先はインボイス請求書が求められることになります。
ちなみに馬券自体の課税の仕組みは今だ誰をもってしても意味不明です。